岐阜地方裁判所 昭和57年(わ)20号 判決
本籍
岐阜県揖斐郡揖斐川町三輪一二八五番地の一
住居
同県安八郡安八町東結一〇六七番地
会社役員
瀬川敏幸
大正一五年二月二一日生
右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官渡辺惠一出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一〇月及び罰金一、四〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、岐阜県安八郡安八町東結一〇六七番地において「ステートホテルエンパイヤ」の名称でモーテルを経営していたものであるが、売上の一部を除外し、これによって得た資金を架空名義の預金口座に入金してこれを競走馬の取得代金に充てるなどの方法により、自己の所得税を免れようと企て、
第一 昭和五三年分の実際所得金額が三一、八一四、九二一円で、これに対する所得税額(但し、配当控除額、源泉徴収税額を差し引いた申告納税額。以下においても同様)が一二、七二二、二〇〇円であるのに、右実際所得金額中一九、〇一四、八〇三円を秘匿したうえ、同五四年三月一五日、大垣市丸の内二丁目三〇番地所在の大垣税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一二、八〇〇、一一八円で、これに対する所得税額が三、〇一三、九〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、前記正当税額との差額九、七〇八、三〇〇円の所得税を免れ、
第二 同五四年分の実際所得金額が五〇、七九二、九六八円で、これに対する所得税額が二四、一四六、六〇〇円であるのに、右実際所得金額中三〇、一一七、四四九円を秘匿したうえ、同五五年三月一五日、前記大垣税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二〇、六七五、五一九円で、これに対する所得税額が六、三六一、五〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、前記正当税額との差額一七、七八五、一〇〇円の所得税を免れ、
第三 同五五年分の実際所得金額が、五二、四五五、五七四円で、これに対する所得税額が二四、五八三、七〇〇円であるのに、右実際所得金額中三三、九六三、一一〇円を秘匿したうえ、同五六年三月一六日、前記大垣税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一八、四九二、四六四円で、これに対する所得税額が四、四八二、六〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、前記正当税額との差額二〇、一〇一、一〇〇円の所得税を免れ
たものである。
(証拠の標目)
被告人の当公判廷における供述のほか記録中の検察官請求証拠等関係カード記載の番号1、4、8、17、22(判示第一事実)、2、5、10、23(同第二事実)、3、6、11、24(同第三事実)、14、15、16、25、26(同全事実)、18、19(同第二、第三の各事実)の各証拠と同一であるから、これを引用する。
(法令の適用)
罰条 刑法六条により昭和五六年法律第五四号による改正前の所得税法二三八条一項
刑種の選択 懲役及び罰金の併科刑
併合罪の処理 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条一項
労役場留置 同法一八条
刑の執行猶予 同法二五条一項
訴訟費用の負担 刑事訴訟法一八一条一項本文
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 笹本忠男)